実家ぐらしとレゾンデートル
僕は25歳なわけだが、いまだに実家で暮らしている。
郊外の庭付きの一軒家だ。
村上春樹の小説の主人公の実家みたいな、傍から見るとブルジョアジーな家だ。
おかげで僕は年収300万を下回る人間だが、太い実家のおかげで何不自由ない生活を送っている。
人間力を高めたり、ハングリー精神を醸成するためには一人暮らしをしたほうがいいのだろうが、一身上の都合で実家で暮らさざるを得ない状況下にいる。
ただ、生活のあらゆる場面で苦労することが全くないので特に不満もなくぬるま湯につかっている。
親の仕事の影響や今まで触れてきた思想の影響もあるかもしれないが、世界の問題や日本の社会課題について考える機会がある。
僕は小学生の頃から社会科系の科目が得意だった。
僕の小学校は年に一回文化祭みたいなもので学級発表をするという行事があった。
小学5年生のときにそこで僕は総理大臣についての発表をしていた。
選挙速報も僕にとっては24時間テレビ以上の一大イベントだった。
それくらい政治について興味があり、社会課題にも関心のある子どもだった。
僕は今の仕事についてはとても社会的意義があるものだとは思っているが、僕が社会に対して抱いている理想を実現するためには、影響範囲が狭く感じてしまう。
それは自身の職能からすれば釣り合わない理想だと思う。
また社会に対して自己の理想を実現しようとするのはある種傲慢なのかもしれない。
そして極めて独善的であるのかもしれない。
僕の理想は誰を幸せにするのだろうかと考えてしまう。
しかし理想を持たずして、何を糧に生きていけばよいのかと思ってしまう。
僕自身は個人に対しても、そして社会に対しても理想を掲げることで生きていることを実感するようになった。
人々は何を糧に働き、生きているのだろうか。